「戦場のピアニスト」心に響く名言を英語セリフから解説

戦場のピアニスト

ナチス占領下のポーランドを奇跡的に生き抜いたユダヤ人ピアニストを描く「戦場のピアニスト」より、心にしみるセリフを原文解説つきで紹介します。

「戦場のピアニスト」をアマゾンプライムで観る

タイトルについて

戦場のピアニスト シュピルマン
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

「戦場のピアニスト」の原題はシンプルに「The Pianist」です。

邦題のおかげで、何か従軍記ものみたいな先入観を持ってしまいましたね。

運命にほんろうされるピアニストを通して、暴力と恐怖が支配した時代とその崩壊、そして再生を浮き彫りにするという作品の流れからすると、タイトルに下手な修飾語は不要と思います。

ghetto -ユダヤ人居住区-

戦場のピアニスト シュピルマン ヘンリク
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

Henryk: You don’t know, believe me.
They bribe the guards.
The guards turn a blind eye.
They’re bringing in cartloads, food, tobacco, liquor, French cosmetics, and the poor are dying all around them and they don’t give a damn.

兄貴は何も知らない。
儲ける奴らは監視兵を買収し食糧、タバコ、酒、化粧品を運び込む。
周りで人が死んでも知らん顔だ。

ゲットーに強制的に移住させられたピアニスト・シュピルマンとその家族。

正義感は強いがちょっと皮肉屋の弟・ヘンリクのセリフから便利表現を紹介します。

  • “turn a blind eye” 「見てみぬふりをする」

turn は「ターン」、向きを変えるという意味ですね。ここでは「向ける」と考えるとわかりやすいです。
a blind eye は「盲目」なので、”turn a blind eye” とは「見えない目を向ける」という意味になります。

何に対して見ぬふりをするのかを言いたいときは、to のあとに続けます。

例文

The teacher was turning a blind eye to smoking in school.
その教師は校内での喫煙に見てみぬふりをしていた。

  • “give a damn” 「気にする、関心を持つ」

ヘンリクのセリフのように、否定形で使われることが多いですね。

例文

I don’t give a damn what you think.
私はあなたが考えていることに関心がない。

underground -地下運動-

Jehuda: I always say look on the bright side.
You’re in the small ghetto, intellectuals, professional people, you’re better off than us.
Here, in the large ghetto, it’s a cesspool.

前向きに考えろ。
「小ゲットー」は知識階級が多いがここ「大ゲットー」はただの掃きだめだ。

戦場のピアニスト シュピルマン
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

シュピルマンがゲットーで知り合った地下運動家 Jehuda は明るくジョークの好きな男でした。

“look on the bright side” とは「明るい面を見る」、すなわち物事を良い方にとらえるということですね。この状況ではかなり難しいと思いますが。。

Szpilman: I want to help.
僕も手伝おう。

Jehuda: You’re too well known, Wladek.
And you know what?
You musicians don’t make good conspirators.
You’re too…too musical.

君は顔を知られすぎてる、ウワディク。
音楽家は地下運動には向いてない。
「音」を立てすぎるから。

秘密で行動する地下活動なので、音を立てるのが仕事の音楽家にはムリだ、というジョークですね。

Majorek: Germans never go into Jewish toilets.
They’re too clean for them.

ドイツ人はユダヤ人のトイレを使わない。
清潔すぎるのさ。

同じく活動家のマヨレクが、情報交換するための意外な場所を打ち明けます。

こちらも皮肉のきいたセリフですね。

「戦場のピアニスト」をアマゾンプライムで観る

go for meltdown -二度と戻れぬ旅-

Szpilman: It’s a funny time to say this, but…
こんな時に妙だけど

Halina: What?
なに?

Szpilman: I wish I knew you better.
もっと話をしたかった

Halina: Thank you.
ありがとう

戦場のピアニスト シュピルマン ハリーナ
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

強制収容所行きの貨車に連行される直前の、妹ハリーナとの会話。

“I wish I knew you better.” は「仮定法過去」といわれる構文です。

wish のあとに主語と動詞の過去形をおいて、「事実とは逆の願望」を表現しています。

シュピルマンは

「もっと話をしたかった、でもできなかった

と言いたかったのです。

これに対するハリーナの返答が泣かせます。これほど悲しい「ありがとう」はきいたことがありません。

Szpilman: What are you reading?
何を読んでる?

Henryk:
‘If you prick us, do we not bleed?
If you tickle us, do we not laugh?
If you poison us, do we not die?
And if you wrong us, shall we not revenge?’
「刺されても血を流さず
 くすぐられても笑わず
 毒を盛られても死なず
 苦しめられても復讐せず」

Szpilman: Very appropriate.
奥が深いな

Henryk: Yes, that’s why I brought it.
だから持ってきた。

ヘンリクが読んでいたのはシェイクスピアの「ヴェニスの商人」でした。

ユダヤ人金貸しシャイロックの台詞を朗読するヘンリク。

“that’s why” というのは、直前の内容を受けて「だから~」という時の便利表現です。

“that’s (the reason) why” のように the reason(理由) が省略されていると考えるとわかりやすいでしょう。

例文

I had my wallet stolen.
財布盗まれた。

That’s why I told you.
だから言っただろ。

Heller : What do you think you’re doing, Szpilman?
I’ve saved your life!
Now, go on, save yourself!
命を救ってやったんだぞ、シュピルマン。
さっさと逃げろ!

ユダヤ人警察官ヘラーの機転で九死に一生を得たシュピルマン。

ここから先はひとりで生きて行け、との彼の思いが “save yourself” の2語に込められています。

「戦場のピアニスト」をアマゾンプライムで観る

Benek : Perhaps they’re lucky.
The quicker the better.

彼らは幸運だったかもしれん。
早く死ぬ方が楽だからな。

戦場のピアニスト シュピルマン
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

職場のカフェに戻って来たシュピルマンは、床下に隠れていた店長Benekに再会します。

“The quicker the better” は、

  • 「The 比較級 ~ The 比較級」(~すればするほど)

の応用例ですね。

通常は比較級のあとに主語と動詞が来るのですが、非常事態で簡潔表現になってます。

例文

The more you practice the more you will play the piano well.
練習すればするほどピアノが上手くなるよ。

resettlement -再移送-

Majorek: They’re going to start the final resettlement now.
We know what it means.
They’re exterminating us. Won’t take them long.
じき最終的な再移送だ。
意味はわかるな。
俺たちを絶滅させる気だ。長くはかからない。

And this time we’re going to fight.
We’re in good shape.
We’re organised. We’re prepared.
俺たちは戦う。
体力もあるし組織化され準備は整ってる。

Szpilman: I have a favour to ask. I want to get out of here.
頼みがある。ここから抜け出したい。

Majorek: It’s easy to get out, it’s how you survive on the other side that’s hard.
逃げるのは簡単だ。生き抜くのが難しい。

その後潜り込んだ労働作業現場で、シュピルマンは地下活動家のマヨレクに再会します。

彼の言う “on the other side” というのは、

  • on the other side of the wall

壁の向こう側、すなわちゲットーの外、ということです。

「戦場のピアニスト」をアマゾンプライムで観る

hiding -潜伏-

Janina: They’re in shock.
They didn’t expect it. Nobody expected it.
Jews fighting back? Who’d have thought?
彼らにはショックよ。
想像もしてなかったから。
ユダヤ人が反撃するなんて誰も考えなかった。

Szpilman: Yes, but what good did it do?
でもムダだった。

Janina: What good?
Wladek, I’m surprised at you.
They died with dignity, that’s what good it did.

And you know something else?
Now the Poles will rise. We’re ready. We’ll fight, too.
何ですって?
ウワディク、なぜそんなことを?
彼らは誇り高く死んだ
、そうでしょう。
だからこそ、次は私たちポーランド人が立ち上がる。

放送局時代の旧友ヤニナに何とか再会し、隠れ家を提供されたシュピルマン。

そこで彼はユダヤ人の反撃行動、そしてドイツ軍による鎮圧までの一部始終を見届けることになります。

シュピルマンのセリフにある “what good”。

これは「良い何か」ではなく、「何の役に立つのか」と否定的な意味で使われていることに注意してください。

つまり、”What good did it do?” で、

「それが一体何の役に立ったのか (何もよいところはなかった)」

と言っているわけです。そりゃヤニナも怒りますよ。。

シュピルマンにはこの種の諦観というか、無常観を漂わせる瞬間があるのが特徴ですね。

スポンサーリンク

a pianist -ピアニスト-

戦場のピアニスト シュピルマン ヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

The German Captain: What will you do when it’s all over?
戦争が終わったら何をする?

Szpilman: I’ll play the piano again. On Polish radio.
またラジオでピアノを弾くつもりです

The German Captain: Tell me your name.
I’ll listen out for you.
名前を教えてくれ、必ず放送を聴く。

Szpilman: Szpilman.
シュピルマンです。

The German Captain: Good name for a pianist.
ピアニストらしい名だ

Szpilman: I don’t know how to thank you.
どうやってあなたに感謝すればいいのか。

The German Captain: Don’t thank me. Thank God.
It’s His will that we should survive.
Well. That’s what we have to believe.
神に感謝したまえ。
生きるも死ぬも神のご意思だ。
そう信じなくては。

戦場のピアニスト シュピルマン ヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉
© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

ポーランド人による蜂起も鎮圧され、廃墟と化したワルシャワをさまようシュピルマンでしたが、最後に運命的な出会いがありました。

詳細は本編を見てもらいたいのですが、ここでは言葉に関する話題をひとつ。

ドイツ人将校の “Good name for a pianist. (ピアニストらしい名だ)” というセリフ。

このシーン、二人ともドイツ語で語っています。

実は「シュピルマン」の発音が、ドイツ語で「吟遊詩人」を意味する “Spielmann” に似ていたことろから、あの将校のセリフが来ているんです。

まとめ

© 2002 – Focus Features – All Rights Reserved

数々の危機を乗り越え生き続けるシュピルマンをみていると、宗教に関心が低い私でも、何か目に見えないもので彼が「生かされている」ような気がしてきます。

歴史の証言者として後世に事実を伝えるために。。

戦いと破壊が終わった夜、そして再び平和が訪れた世界で演奏されるシュピルマンのショパンは、彼の代わりに犠牲となった無数の人々に捧げる鎮魂のメロディとして聴く者の胸を打ちます。

なお、セリフから見た「戦場のピアニスト」ですが、シュピルマンその他登場人物の英語は丁寧で分かりやすく、学習者には最適です。

テーマは重いんですが、英語を学びながら深い感動を得られるので、この機会にぜひ!

おまけ : 英語が苦手な人はこちらを

「そうは言っても全文英語なんてムリ」

「かっこいいセリフをひとつだけ教えて」

という人には、こちらがおすすめです。

こちら、ノミネート作品も含めた過去のアカデミー受賞作から50個の名セリフを紹介しているんです。

もちろん英語つきで。

作品情報からちょっとしたトリビア、そしてネタバレ無しのセンスいいイラスト解説まで載っていて、とても楽しく元気が出てくる本です。

「最近なんかいいこと無いなあ」という人、占い代わりにパラパラとめくったところから読んでみてください。

きっと心に刺さるフレーズが見つかるはずです。

しかもそれが簡単な英語で表現されてることに驚くと思います。

好きな俳優が語るカッコいいセリフをこの本でぜひ覚えちゃってください!


<<あわせて読みたい>>

「ショーシャンクの空に」心に残る名言を英語セリフから解説

「マトリックス」の世界観と名言を英語セリフから読み解く

「ジョーカー」英語セリフと名言集

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」英語セリフと名言集

「プラダを着た悪魔」英語セリフと名言集

「フォレスト・ガンプ」英語セリフと名言集

この記事を書いた人
チップマンク

50代会社員。転職5回。
帰国子女でもなく留学経験もないですが、外資系や国内海外部門での経験を生かして英語に関するネタを中心に情報発信中!
最近始めたピアノについても不定期で投稿してます。

チップマンクをフォローする
名画座
スポンサーリンク
チップマンクをフォローする
keep on walking

コメント

タイトルとURLをコピーしました