19世紀に実在した興行師、P.T.バーナムの波乱に満ちた生涯を描いた「グレイテスト・ショーマン」から、心に響くセリフや使える便利表現などを原文の解説付きで紹介します。
「グレイテスト・ショーマン」をU-NEXTの無料プロモーションで観るP.T.バーナムの名言
will -意志-
P.T. Barnum: People will come from all over the world and when they see him they won’t laugh.
They don’t understand it, but they will.お客は世界中からくる、笑いやしない。
理解される日が必ずくる。

今までにないショーを作ろうと、身体的なハンディキャップを持った人たちを積極的に採用するバーナム。
日陰者として生きてきた彼らを前向きな言葉で鼓舞していきます。
“will” には、単なる未来の予定ではなく、話し手の意志が詰まった前向きな言葉です。
二つ目の文も正確に言えば
“~, but they will understand“
ですが、「理解されるんだ」という強い意志の入った “will” があれば、話し手の気持ちは十分伝わるんですね。
hyperbole -誇大広告-
P.T. Barnum: Well, hyperbole isn’t the worst crime.
Men suffer more from imagining too little than too much.誇大広告など問題じゃない。
想像力は豊かなほどいい。
イヤミな評論家のベネット氏からショーを偽物扱いされた時のセリフです。
直訳すると「誇張は最悪の犯罪ではない。人は想像力があるよりも無い方がより苦しいのだ。」となります。
enemy of progress -進歩の敵-
Phillip: Lets just say that I find it much more comfortable…
遠くから眺めてる方が気楽ですP.T. Barnum: Comfort, the enemy of progress.
気楽は進歩の敵だPhillip: Do you understand that just associating with you could cost me my inheritance.
あなたと一緒にいるだけでも評判が傷つくんですよ。P.T. Barnum: I thought it’d cost you more than that.
But, on the other hand, well, you just might find yourself a free man.
すべてを失うかもしれんな。
だが解放されるぞ、社会のしがらみから。

イギリス社交界にコネを持つプロデューサーのフィリップを何とか自分の味方にしようと画策するバーナム。
実在したバーナムが本当にこう言ったかどうかは不明ですが、”comfort” といい “cost” といい、相手の発言を逆手にとって本音に迫る切り返しが上手いですね。
just a showman -ただのショーマン-
P.T. Barnum: A showman, Miss Lind, just a showman.
The best on my side of the Atlantic.
ぼくはただのショーマンです。大西洋の西側では最高のね。
欧州の有名歌手、ジェニー・リンドを自分の舞台に立たせるため、パーティ会場で熱心に語りかけるバーナム。
何気ない会話を交わしながら、実はお互いに相手の本気度を探ろうとする駆け引きが印象的なシーンです。
“on my side of the Atlantic” というのは、大西洋の自分側、つまりアメリカのことですね。
how could you -よくもまあ-
P.T. Barnum: No. You don’t understand!
How could you?
My father was treated like dirt.
I was treated like dirt.
My children will not be.いいや、わかってない。君には無理だ。
親父も僕もゴミのように扱われた。
娘たちは違う。
逆境をのし上がっていくバーナムの原点は小さい頃の苦い記憶でした。
“How could you?” は “How could you say that?” の省略で、「よくそんなことが言えるね」という意味です。
全力疾走を続けるバーナムを心配する妻のチャリティに対し、
「裕福な家庭に育った君が僕の立場をわかっているなんてよく言えたもんだ」
とムキになって反論してしまったんですね。
余談ですが、”How could you” というフレーズについてはこちらでも解説してます。
そして、次のセリフでまた “will” が出てきます。
こちらは否定形で、「~するつもりはない」という話し手の強い意志が表れています。
省略せずに書けば
My children will not be treated like dirt.
(娘たちはゴミのようには扱われることはない)
といったところですね。
The noblest art -最も崇高な芸術-
P.T.Barnum: The noblest art is that of making others happy.
最も崇高な芸術とは人を幸せにすることだ。
この一文にバーナムが生涯をかけて追いかけてきたものが集約されてます。
独りよがりではなく、人を幸せにしてこそ芸術なんですね。
フィリップの名言

rewrite the stars -運命を書き換える-
Phillip: So why don’t we rewrite the stars?
運命さえ変えよう。
空中ブランコの名手、アンと運命的な出会いをしたフィリップ。
ここの “star” は「運勢・運命」という意味です。日本語でも「幸運な星の下に生まれる」なんていいますね。
“why don’t we” は映画やドラマによく出てくる表現です。
疑問文の形ですが、
「なぜ○○しないの?」⇒「○○しよう」
と覚えておきましょう。
主語が “we” なので、一緒に何かをするイメージです。
これが “you” だと相手に提案している感じになります。
joy -歓喜-
Phillip: You brought joy into my life.
あなたは私の人生に歓喜をもたらした。P.T.Barnum: I need a bank who takes joy as collateral.
「歓喜」が担保になればな。Phillip: They may not…but I will.
銀行は無理だが、、僕は受ける。
サーカスの再建資金に頭を悩ませるバーナムの窮地を救ったのはフィリップの意外な申し出でした。
ここでも話し手の力強い意志を示すのに will が使われています。
正確には直前の文を受けて
“but I will take joy as collateral” ですね。

チャリティの名言
happiness like this forever -永遠の幸せ-
Charity: I wish…for happiness like this forever.
この幸せが永遠に続きますように。

“wish” は願い事をする際の定番表現ですね。
似たような単語に “hope” もありますが、”wish” の方がより可能性の低い、控えめなニュアンスがあります。
I would have say yes -止めなかったのに-
Charity: Why didn’t you ask me before?
I would have said yes.
I never minded the risk, but we always did it together.なぜ前もって相談してくれなかったの?
止めなかったのに。
リスクなんか気にしなかったし、いつも一緒にやってきたじゃない。
バーナムが失敗したことよりも相談してくれなかったことを悲しむチャリティ。
“I would have said yes.” は If 節のない仮定法ですね。
「相談してくれたらYesと言っていたのに」⇒「相談してくれなかったので何も言えなかった」ということです。
never wanted anything but -それ以外いらない-
P.T.Barnum: I wanted to be more than I was.
過去の自分以上の人間になりたかった。Charity: I never wanted anything but the man I fell in love with.
私は愛する人だけを求めた。

こちらでは同じ want を使ってバーナムとチャリティの考え方の違いを端的に表現していますね。
“anything but” の “but” は「しかし」ではなく「~以外の」と訳すのがポイントです。
直訳すれば「私は愛する人以外、いかなるものも決して求めなかった」となります。
but のこの使い方は、文章でも会話でも頻出です。とても重要なので、この機会に覚えてくださいね。
ジェニー・リンドの名言

a hole no ovation can ever fill -埋められない穴-
Jenny Lind: Life always manages to remind me that I don’t deserve a place in this world.
And that leaves a hole that no ovation can ever fill.生きているとよく思う。自分は価値のない人間だと。
心の穴は大喝采でも埋められない。
ジェニー・リンドは華やかさの中にどこか影のあるキャラクターで、ささやかな日常に幸せを見つけるタイプのチャリティとは対照的です。
“Life always manages to ~” の文はいわゆる無生物主語というやつですね。
「人生は~」と訳すとちょっと大げさになってしまうので、自分を主語にしてみましょう。
just another acts -ただの出し物-
Jenny Lind: I’m just another your acts.
私も出し物だったのね
バーナムが全てを賭けた公演でしたが、彼女の痛烈な皮肉ともに暗礁に乗り上げてしまいます。
“another (もうひとつの)” は通常うしろに単数形の名詞がくるのですが、ここでは “your acts” と複数形になってます。
バーナムの数々の出し物の中のひとつにすぎなかった、ということでしょう。
まとめ
ミュージカル映画として大成功した「グレイテスト・ショーマン」。
歌以外の通常の会話も言葉にリズム感があるのが特徴です。

バーナム演じるヒュー・ジャックマンは話し方も明瞭で、英語学習には最適ですね。
さらに、何と言っても挿入歌の数々がどれも素晴らしいです。メロディだけでなく、ぜひ歌詞の方も読んでみてください!
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「最近なんかいいこと無いなあ」という人、占い代わりにパラパラとめくったところから読んでみてください。
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