「グラン・トリノ」心に残る名言を英語セリフから解説

グラン・トリノ

隣りに住む少年との交流を通して、固く閉ざされていた元自動車工の内面の変化に迫った「グラン・トリノ」より、心にしみる名言を英語セリフの解説つきで紹介します。

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living in the ’50s -50年代を生きている-

Steve: Dad’s still living in the ’50s.
My point is that there’s nothing anyone can do that won’t disappoint the Old Man.

親父はまだ1950年代を生きてるんだ。
人のすることはすべて気にくわないのさ。

妻の葬式シーンで、主人公ウォルトの息子スティーブがつぶやいてます。

“My point is that …” というのは、直前の会話をまとめたり、脱線した内容をもとに戻す際に使われます。

「要するに~」といった感じです。

that 以下に”there’s nothing”, “won’t disappoint” と否定形が二つあって分かりにくいですが、

「親父を失望させないヤツはいない」

ということです。

なお、old man というのは直訳すれば「古い男」ですが、今回のように父親のことを指すことがあります。

後で出てくる黒人ギャングのセリフように「ジジイ」という乱暴なニュアンスも持っていますね。

confession -懺悔 (ざんげ) –

Father Janovich: Dorothy mentioned specifically that it was her desire for you to go to confession.
She said she couldn’t remember the last time you went.
ドロシーさんは特に「主人を懺悔に行かせて」と言い残されました。
何年も行ってないから。

Walt: Well, I confess I never really cared for church very much.
The only reason I went was because of her.
And I confess I have no desire to confess to a boy that’s just out of the seminary.
懺悔すると、教会は苦手で妻への付き合いだった。
ついでに告白すると神学校出たての若造に懺悔など!

年の若いヤノビッチ神父に対し、取り付くしまのない態度をとるウォルト。

ウォルトのセリフにある “much” ですが、否定文の中で使われると

「それほど~ではない」

という意味になります。文法的には部分否定と呼ばれるもので、単に否定するより微妙なニュアンスが出せる便利な言い方です。

直訳すると、

「私は教会が大好きだったわけでは決してないことを告白しておこう」

となります。

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American -アメリカ製-

Walt: Kill you to buy American?

国産車を買うとバチがあたるのか?

こちらはトヨタのセールスマンである息子に対するイヤミですね。

フォード社で長年働き、「グラン・トリノ」のオーナーでもあるウォルトらしい発言です。

文頭に主語が省略されているので、

Would it kill you to buy American?”

と補うとわかりやすくなりますよ。

get off my lawn -芝生から出ていけ-

Walt: Did you hear me?
I said, get off my lawn now.
聞こえたか?
うちの芝生から出ていけと言ってるんだ。

Smokie: Are you crazy?
Go back in your house.
あんたおかしいのか?
とっとと家に入れ。

Walt: I’ll blow a hole in your face then go inside and sleep like a baby.
その面に穴開けたら家に入って赤ん坊のようにスヤスヤ眠るよ。

モン族のチンピラがウォルトの敷地内に入り込んだ際に、ライフルを構えながら警告しています。

典型的なアメリカ人のウォルトは芝生に愛着を持っています。

ちょっと前にも隣家が芝生に関心を払わずにいるのを苦々しく見つめるシーンがありますね。

ちなみに lawn というのは、芝そのものではなく、芝が植えられている一帯を示しています。

an area of ground in a garden or park that is covered with short grass
短い芝で覆われた庭もしくは公園のエリア (ロングマン英英辞典より)

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salvation -救い-

Walt: And you’re right about one thing.
About stronger men than me have found their salvation.
Hallelujah.
But you’re way wrong about something else.
あんたはひとつだけ正しい。
俺より強い男でも魂の救いを得る。
ハレルヤ!万歳!
だが間違いもある。

Father Janovich: What’s that, Mr. Kowalski?
どの部分が?

Walt: The thing that haunts a guy is the stuff he wasn’t ordered to do.
命令もされず自らやったということが恐ろしいのだ。

何とか改心してほしいと食い下がるヤノビッチ神父にウォルトが言い放ちます。

ウォルトのセリフに出てくる “stuff” という単語は、「もの、こと」と訳すことが多いですが、似たような単語に “thing” があります。

ここではその “thing” と “stuff” が一緒に出てくるので混乱しますね。

実は、 同じ「もの、こと」でも

  • thing : 具体的な、限定的なイメージ
  • stuff : 漠然とした、カジュアルなイメージ

という違いがあります。

今回のセリフを直訳するとこうなります。

“The thing that haunts a guy is the stuff he wasn’t ordered to do.”

ある男(自分)の頭から離れないのは、命令もされずにやっちまったことだ。

“The thing that haunts a guy”

では現在のウォルトを悩ませている状況を、

“the stuff he wasn’t ordered to do”

というのは、命令もされずにやってしまった行為を指しています。

なぜそのようなことをしたのか自分でも答えが出ていないので、あいまいな stuff を使っているんですね。

なお、”salvation (救済)” という言葉はこちらの作品でも効果的に使われてますよ↓

That’s me -それが俺だ-

Walt: Ever notice how you come across somebody once in a while you shouldn’t have messed with?
That’s me.

「怒らせたのが間違い」という相手もいるんだ。
例えば俺だ。

こちらは黒人のチンピラに絡まれるスーを助けるシーンです。

「関わらない方がいい相手にどんな風に出くわすか知ってるか?」

と言ってるんですが、”Ever notice” の前に “Do you” が省略されていると考えるとわかりやすいですね。

extra tools -追加の工具-

Walt: If you need any extra tools, you just let know.
工具が足りなきゃ俺に言え。

同族の少年たちによるタオへの嫌がらせがエスカレートし、ウォルトも黙って見過ごすことができません。

ここでは仕事に使う工具のことを言っているようで、”extra tools” を自分になぞらえ、

「反撃するなら仲間になるぞ」

と含みを持たせています。

what the hell -なんてこった-

Walt: I knew this was gonna happen.
What the hell am I doing here?

やっぱりこうなった
俺が余計なことをしたのか?

暴力では解決しないことがわかっていたのにまたやってしまった、、

というウォルトの後悔の念が伝わってくるセリフです。

“What the hell” の “the hell” は what を強調するために挿入されるスラングで、

  • 驚き
  • 怒り
  • あきらめ

など、話し手が感情を込めたいときにおなじみのフレーズです。

こちらの作品でも重要なシーンで出てきますよ↓

medal -勲章-

You wanna know what it’s like to kill a man?
Well, it’s goddamn awful, that’s what it is.
The only thing worse is getting a medal…for killing some poor kid that wanted to just give up, that’s all.

人を殺してどう感じるかって?
この世で最悪の気分だ。
それで勲章などもっと悪い。
相手は降参しかけてた。

“The only thing worse is getting a medal”

というのは、「より〜なのは〇〇だけ」を表す慣用句です。

通常なら比較級 (worse) の直後に

“than + 比べる対象 (ここでは「最悪の気分」)”

を入れるところですが、直前に説明していることもあって省略されてます。

要するに

「最悪の気分よりもっと悪いのは、降参しかけた相手を殺したことで勲章をもらってしまったことだ。」

ということです。

国からもらった勲章はウォルトの誇りで、今まで大切に保管してきました。

しかし、その勲章をもらったきっかけが通常の戦闘ではない人殺しという矛盾に苦しんでいるんですね。

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come a long way -大いなる進歩-

Thao: Walt. You take me with you right now.
ウォルト、僕も行かせろ。

Walt: Look, you’ve come a long way.
I’m proud to say that you’re my friend.
But you got your whole life ahead of you.
But me, I finish things.
That’s what I do, And I’m going it alone.

お前は大人になった。
自慢できる友達だ。
お前の人生は今から。
俺は関わったことに決着をつける。
それも一人でな。

“You’ve come a long way” には、

「大いに進歩・成長する」

という意味があります。

to have made a lot of progress
おおきな進歩をしたこと (ロングマン英英辞典より)

この意味で使われる場合は、you’ve come のようにほぼ間違いなく現在完了形になります。

過去から現在まで成長し続けているイメージですね。

若くて有望な若者に自分のような思いをしてほしくないので、ウォルトはひとりでトラブルに立ち向かいます。

ここで “I finish things.” と、things がまた出てきましたね。

ウォルトの中ではもうやるべきことは決まっているので、あいまいな stuff ではなく断定的な things がピッタリなんです。

まとめ

ある退役軍人とアジア系一家の運命的な出会いと別れを描いた「グラン・トリノ」。

ウォルトのセリフは、スラングや省略、差別用語が多く、お世辞にも柄がよいとはいえません。

それが、ヤノビッチ神父やタオ少年との交流を重ねるなかで、言葉使いにも変化が表れていきます。

表情や演技だけでなく、セリフに着目してウォルトの心境の変化をみていくと、新しい発見がありますよ。

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