「パーフェクトワールド」/擬似親子が奏でる哀しきロードムービー

パーフェクトワールド 名画座

あらすじ

1963年のアメリカ・テキサス州。刑務所を脱獄したブッチは少年を人質にとり逃走を続けていた。

目指すは「完璧な世界」。少年フィリップスを人質というより相棒のように扱うブッチに対し、フィリップスもまたブッチに対して奇妙な親近感を持つようになる。

そんな中、立ち寄った農夫の家である事件が発生する。

その昔ブッチを少年院送りにした警察署長レッドの包囲網がせまるなか、二人がとった行動とは、、

パーフェクト・ワールド(字幕版) -アマゾンプライムで観る-

勝手に評価

キャスト 4.5
映像 3.5
音楽 3.5
演出 4.0
総合 4.0

I need me a time machine with a loud radio to take me where I’m going.

行きたいところへ連れて行ってくれる騒々しいラジオ付きのマイムマシンが俺には必要なんだ。

Butch Haynes

行く先々で矛盾に満ちた行動をとるブッチですが、一貫しているのは、子供を抑圧・虐待する大人への異常なまでの憎悪の感情です。

一体何が彼をそのような行動に駆り立てるのでしょうか。

そのヒントは、レッドと犯罪心理学者サリーとのやりとりから徐々に明らかになっていきます。

そのレッドとサリーをあざ笑うかのように、警察を手玉に取って逃げ続けるブッチ。

フィリップスのささやかな願いをかなえたり、自分を捨てた父からの絵葉書を大事にしている様子から、見ている我々もだんだん彼に同情的になっていきます。

いわゆるストックホルム症候群というやつですね。

しかし、反社会的な彼の行動が破綻するのは時間の問題であり、農夫の家でそんな彼の矛盾が爆発してしまいます。

追いかけるレッドも、彼を更生させられなかった過去の苦い経験からなんとか事態を良い方向に持って行こうとするのですが、こちらはこちらで政治家やFBIとの調整など「大人の問題」が立ちはだかって思うように動くことができません。

さて、タイトルの「パーフェクト・ワールド」とは一体何でしょう?

ブッチのいうパーフェクトワールドというのは、父が手紙を寄越したアラスカのことです。愛情に飢えていたブッチにとって、肉親との唯一の接点であるアラスカはまさに地上で最もパーフェクトな世界です。

一方、サリーと警察関係者の間で、

「パーフェクト・ワールドじゃないのでそこまで手がまわりません。」

「パーフェクト・ワールドなら犯罪は起きないね。」

といった会話が交わされます。

確かに犯罪がはびこる社会は「パーフェクト」とは言えないわけで、その犯罪者であるブッチが「パーフェクト」を目指すこと自体が大きな矛盾というか、皮肉になっています。

ブッチやレッド、宗教を盲信するフィリップスの母、俗物の州知事やFBI職員などとは正反対の理想の境地が「パーフェクトな世界」なのであって、そこには何かたどり着けない諦観のような響きが感じられます。

唯一救いがあるとすれば、少年フィリップスが賢かったところでしょうか。

ブッチはフィリップスに出会えて幸せだったと思います。

マスタードだらけのサンドウィッチの中に、紙幣が舞う草原の中に、ささやかながら「完全な世界」が実現していたからです。

たとえそれが永遠に続くものではなかったとしても。。

こうやって言葉少なく人間同士の交流を描くクリント・イーストウッドの演出は本作品でも冴えています。

ケビン・コスナーもキャリアが最も充実している時期で、とても格好いいです。

特撮などに頼らない正統派のドラマで感動したい人にはぜひおすすめです!

作品情報

原題 A Perfect World
公開 1993年 アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 ケビン・コスナー (ブッチ・ヘインズ)
クリント・イーストウッド (レッド・ガーネット)
T・J・ローサー (フィリップ・ペリー)
ローラ・ダーン (サリー・ガーバー)
この記事を書いた人
チップマンク

50代会社員。転職5回。
帰国子女でもなく留学経験もないですが、外資系や国内海外部門での経験を生かして英語に関するネタを中心に提供していきます。

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